Kazoo(カズー) 第2章 2.2 膜鳴楽器 2.発音体とその振動 音が持続する楽器の場合 付録C.1.3 膜鳴楽器 d.歌奏太鼓 図の波形は発振器で発生させた160Hzの正弦波をスピーカから 紙の筒を通してカズーの歌口に導入し,マイクで収録した音である. 前半はカズーの膜の取り付けられている穴を指で塞いで膜の振動を抑えた状態で, 後半は指を離して膜が自由に振動できるようにした状態である. したがって,前半部分は膜のない単なる管を通した音であり, 後半のみ膜振動による効果が現れている. 前半部分の周波数スペクトルには等間隔にピークが並ぶ調波構造がみられるものの, 基本波が突出して大きいことが分かる. 後半部分の周波数スペクトルでは基本波以外の調波成分が明らかに大きく なっていることに加え,調波成分以外のいわゆる雑音成分も発生している. 音を聴くと前半はほぼ低音の純音しか聞こえず暗い音色であるが, 後半ではクロマ的な音の高さは前半と同じであるが,基本波以外の成分が 大きくなった結果,音色的な音の高さは高く明るい音色に変化していることが 聴き取れる.さらに,調波構造が特に高域で乱れていることは, 音がしわがれ声的に聞こえることと整合する.